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映画「野のなななのか」

 浦河郡(うらかわぐん)浦河町(うらかわちょう)、「大黒座(だいこくざ)」。苫小牧(とまこまい)より南、襟裳岬(えりもみさき)へかけての地域は日高(ひだか)地方と呼ばれ、競走馬と昆布が名産。その日高管内にある唯一の映画館で、大正期の創業以来100年近い歴史を持つらしい。wikipediaによると、建物自体は3代目。ミニシアター系の落ち着いた外観で、上映作品もミニシアター系。日高管轄全ての人口を合計しても7万人ちょいの商圏で、奇跡のような映画館だ。

 札幌からは高速経由で3時間。駐車場が有るか事前に確認すると「映画館の前に3台と、後はそのへんに路上駐車してください」。そもそも満席になるほど客が来ることを想定していない、おおらかな対応。まあ、ホームページのタイムテーブルもこんな感じですから、積極的に客を呼び込もうという気概はまったく無い。

 休日の昼間、我が夫婦以外には1組4人だけ。最初、客席のど真ん中に座っていたら、皆さん視界が被るのを避けて端から座ろうとするので、ちょっと上手(かみて)に席を移る。「あ、すいません、ありがとうございます」。わざわざこんなところまで地味な映画を見に来るなんて、客同士も連帯感が生まれます。

 大林宣彦監督作品「野のなななのか」。92歳で亡くなった元病院長(品川徹)の人生を振り返りながら、その死によってもたらされる家族達の悲喜こもごもを描いた、いわゆる“喪の仕事”作品。舞台は北海道芦別市(あしべつし)。なぜ芦別を舞台に・・・と言う話になると長くなるので割愛。しかし、炭鉱町の盛衰と、(今となっては)はるか樺太(からふと)との関わりが物語りのキーとなり、芦別ならではの作品に仕上がっている。

 上映時間171分の、なかなかの大作。しかも内容が濃い。一秒も聞き逃すことが出来ないほどの膨大なセリフとカット割り。前菜のサラダ(オープニングの音楽)が終わると、後は肉、肉、肉がわんこそば状態で観客に差し出される。大林耐性菌を持っている自分でもつらいと思ったのだから、心の準備が出来ていないと、大変な映画体験となるだろう。

 ストーリーも、非常に重い。“3・11”を経験して、音楽家、映画監督等の表現者達は2つの選択肢を迫られた。作品の中では何も無かった事にして従来のスタイルを続けるか、3・11の現実を取り入れ作品を描くか。どちらを選ぶにしても凡人には理解できない苦渋の決断だろうが、大林宣彦は、現実から1ミリも目をそらすことなく取り入れる道を選んだようだ。戦争(太平洋戦争終結後も続いたソ連軍の侵攻)を描き、原発問題を描き、高らかにNOを宣言している。現在76歳、もうメガホンを捨て遺作にしてもいいくらいの強烈なメッセージだ。

 それでもなんとか清涼感を持って終わることが出来るのは、“なななのか(7x7=四十九日)”に花畑の丘で「心まで過疎になったわけではない」と語る看護師(寺島咲)と、近い将来芦別の住人となりそうな女子大生(山崎紘菜)のひ孫コンビの存在。まだ、この国を取り戻すことが出来ると、希望を残してのエンディングでした。

映画「北のカナリアたち」

 北海道なので見るかあ、でも「告白」の湊かなえかあ〜〜、どうすぺ・・・と、思っているうちに、原作(原案となった作品)を先に読んでしまった。お、なんかちょっといい話じゃん、じゃあ観てみるか。

 何か過去を抱えた感じの吉永小百合さん。昔の教え子が殺人事件の容疑者となった事をきっかけに、過去の自分と向き合う・・・・・と、思わせておいて、小百合さん演じる女教師は、昔も今も愛に溢れる先生だったわけです。もう泣けました。原作のちょっといい話が、凄くいい話になっています。

 しかし、どうも「極寒の地に生きる人々は幸せになってはいけない」らしい。教え子の全員が今を生きるのが精一杯な感じで、「俺(私)、今凄く幸せ」という人物は1人も登場しない。そんな彼らを支えているのは、子供時代の幸せだった記憶。「確かにあの時の私たちは幸せだった」。そう言い切れる彼(彼女)達は、美しい記憶を持つ者同士これからも助け合い、実直に生きていくでしょう。「生きていて、いいんだよ」、涙が止まりません。

 難を言えば、仲村トオルとの逸話は少し持て余している感じ。舞台を北海道にしそこに原作のエッセンスを美しく盛り込んだ中で、仲村トオルの逸話だけが何か他人の物語をくっつけた感じがぬぐえない。いまいち、熟成が足りない。もったいない。

 それにしても、ロケは寒かったでしょうね。耳冷たいでしょ、帽子被ろうよ、満島ひかりちゃん。って凄く気になってしまいました。


映画「あなたへ」

 いやーーー、深いっす。

 この映画を理解するには、まだまだ自分は若輩者です。高倉健さんに達するには後37年、大滝秀治さんに達するには43年、それくらい人生を積み重ねないとこの映画の機微は理解できないでしょう。しかし、例えこの映画で伝えようとしている事が半分も理解できなかったとしても、登場人物それぞれの人生が心に染みる作品でした。

 映画を見る前に、NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀 高倉健スペシャル」を見た。今回の映画を題材にして、高倉健へのインタビューをまとめた物だ。高倉健が言うところの「気持ちが映る」幾多のシーン・・・写真館で昔の田中裕子の写真を見つめる場面、散骨後の大滝秀治とのやりとり、長塚京三への手紙・・・を“予習”できた事で、なんとか、少しばかり、この映画を味わう事ができた。それが無ければ9割方何も起こらないこの映画は、自分にとって眠たいだけの作品となったかもしれない。

 特に長塚京三への手紙の意味、そこに至った高倉健の決断をこの映画だけで理解するのは、かなりハードルが高い。監督さん、語らなさすぎです。手紙を投函するところは、この映画で最も重要な場面である気がするが、それこそ高倉健の「気持ち」だけで表現している。この映画を観た人は、ぜひNHKの番組も観る事をお薦めします。感動が倍増します。

 しかし高倉健演じる主人公も、さすが人生の機微を理解しています。余貴美子さんから託された写真を、ちゃんと間違えることなく届けています。自分なら、「はい、ちゃんと海に流してきました」と、意気揚々、報告していたかもしれない・・・。まだまだ人生は長いなあ。


映画「テルマエ・ロマエ」

 まあ、そんなもんかな。原作コミック以上の深みは無く、エピソードをなぞって映像にしただけ。暇つぶし映画です。コメディなんだから「歴史が変わってしまう」なんて大上段に構えられてもしらけるだけ。阿部寛が日本で巻き起こす珍騒動か、上戸彩がローマで巻き起こす珍騒動か、どちらが主軸かはっきりさせた方が深みが出たと思う。恋愛話も中途半端。こんなんじゃ泣けねぇなあ・・・と思っていたら隣の兄ちゃんが号泣していました。ええ、泣くほどの話???感受性鈍ったかなあ。

 原作のヤマザキマリさんは幼少期、及び海外放浪後の一時期、北海道で暮らしていたそうです。STV(札幌テレビ)でレポーターをしていた事もあり、「「どさんこワイド」のヤマザキマリさんが・・・」と凱旋帰国扱いで都度都度テレビに登場している。レポーター時代の映像が流されるけど、はっちゃけぶりが凄い。ヤマザキマリさん自身の半生を映画化した方が面白いかも。



映画「しあわせのパン」

 いい映画です。この映画を企画した鈴井亜由美さんが「北海道のPR映画」と言っていたので、失敗だったらどうしようと思いましたが杞憂に終わりました。心あたたまる映画です。季節毎に展開される小さなストーリーと、水縞くんのりえさんに対する長い長い物語がうまく絡まり、良い作品に仕上がっています。

 この映画はなんだが自分のこの一年と同期している部分があり、作品の中の北海道に入り込んでしまいました。東京で暮らし、その魅力も、人が生きていく上での“不便さ”も感じ取った中で札幌へと移り、
丸一年、全ての季節を経験しました。人と人の、そして人と自然のほどよい関係に魅了され、りえさんの心がほどけていく感じがなんだがしっくりと理解できました。

 特筆すべきなのは、昨年の東日本大震災以降、ドキュメンタリーはともかくフィクションの世界を描く娯楽映画で初めて「地震」という言葉が使われた作品だという事(たぶん)(もっともこの映画で取り上げた地震は阪神淡路大震災で、3.11以前に撮影された物と思われる)。最愛の娘を失い人生の終わりを迎えた老夫婦が「変われる自分」を発見するストーリーだが、そこにこの映画の主旋律であるカンパニオの話が見事に絡まる。昨年来、「絆・絆って、なんなのよ?」ってちょっと世の風潮について行けない感じがしていたが、「心に寄り添うというのは、こういう事なのね」とちょっと納得がいった。

 ちょっと批判させてもらうと、最初の「夏」のストーリーは少しチープ。起承転結の「起」、もしくはジャブ程度に思っていればいいのかも知れないが、あの結末はどうなのよ。あ、でも「夏秋冬」、「起承転」と、ボレロの様に盛り上がってくる計算されたチープさなのか?。そして「春」、「結」の訪れ、大橋のぞみちゃん、スバラシイ・・・。批判になってませんね。

 真面目に批判させてもらうと、焼き立てのパンのけむりとか、咀嚼する時の音とか、ちょっと演出過多。如何にもCG、如何にも音効。せっかくの自然素材に着色料を着けた感じで少し興ざめ。

 それにしても、原田知世の何処か浮世離れした感じがこの映画のちょっとファンタジーな映像にぴったりです。デビュー作「時をかける少女」では如何にも「芝居初めてです」的な初々しさが魅力でしたが、その初々しさを持ったまま、大人の女優になりました。角川映画の先輩、薬師丸ひろ子はすっかりおばちゃ・・・(自粛)。






映画「ステキな金縛り」

 徹頭徹尾、良くも悪くも三谷幸喜です。突っ込みどころ満載の、細かく言えば(いつもどおりの)破綻しまくりの脚本ですが、まあコメディーなので細かい話は抜きにして楽しみましょう。5分に1回爆笑出来る最高の映画です。それでいて、亡くなった父親との“会話”のシーンは涙無くては見てられません。個人的には「THE 有頂天ホテル」に次ぐ僅差で三谷監督史上2位の作品となりました。得意のワンシチュエーションコメディーに前作「ザ・マジックアワー」で見せた洋画的な雰囲気が見事に融合し、舞台はコテコテの日本でありながら古き良きアメリカ映画を彷彿とさせます。出演者が歌う主題歌も、「わんす、いな、ぶるーむーーん」といつまでも口ずさんでいたい気持ちです。「ティファニーで朝食を」の挿入歌「ムーン・リバー」とか、「オズの魔法使」の「虹の彼方に」とか、そんな雰囲気です。

 北海道民としては、大泉洋の出番が気になるところ。大泉洋が出演しているローカル番組「おにぎりあたためますか」で事の顛末が語られ、本人曰く「各方面から多大なお叱りを受けた」らしい。番組で紹介された撮影風景では、三谷監督の嫌がらせで“顔出しNG”的な感じだったが、映画ではちゃんと“顔出し”でした。


 映画館のある商業施設サッポロファクトリーは、サッポロビールの工場跡地。北海道開拓使が作った官営の麦酒醸造所に起源を持つ、歴史在る場所です。三角屋根には今でもビールのラベルに描かれている北極星が。絡まる蔦が見事に紅葉。ちなみに工場は恵庭市に移転し、現在札幌市内で工場出来立てビールがいただけるのは、白石区のアサヒビール園だけです。


 「苗穂駅前温泉 蔵ノ湯」へ。札幌駅のお隣、苗穂駅(なえぼえき)の目の前にある温泉です。立地の良さからいつも混雑しているイメージがあり、まあでも中がそれなりに広ければ大丈夫かなあ、と思いながら入ったらやっぱり混んでました。しかも脱衣場から浴場へ入っただけで感じるカルキ臭。なんだかなあ。天然温泉をうたってますが、都市型スーパー銭湯と思った方が良さそうです。露天風呂の隣にある洞窟風呂は、荒天時にも露天気分を楽しめそうで、なかなか良いアイデア。まあでも全体として天然温泉に来た気分は無いです。



映画「コクリコ坂から」

 地味ですが、良い作品に仕上がっていると思います。でも、宮崎吾郎さんの初監督作品である「ゲド戦記」が 10 の期待に対し 7 くらいだったのが、今回は2作目と言う事で 11 くらい期待していたのが 8 くらいに終わった感じ。何が悪いって、脚本が良くない。登場人物みずからが「安っぽいメロドラマ」と言うような内容。簡単に言えば「好きな人が、実は異母兄弟だった(ガーーン)、でも本当は違ってた(めでたしめでたし)」。なんじゃそりゃ。

 そんなメロドラマを爽やかにしているのが、何事にも頑張っている海ちゃんの姿。父親を亡くし母親も長期不在の中、下宿の世話係をこなし、充実した学校生活をおくっている。映画のテーマになっている“上を向いて歩こう”です。このつまらない話を良作にしているのは、宮崎吾郎の演出の勝利かもしれません。次回作は、もっと期待できます。

 それにしても、なんだか「宮崎駿の青春プレイバック」、って感じで時代背景とその時代の文化がわかっていないと理解できない部分が多すぎ。アラフォー(43歳)の自分で、ぎりぎり“ガリ版”まで。“ガリ切り”なんて言葉は知りませんでした。東京オリンピックは生まれる前だし、朝鮮戦争は教科書の出来事。「船乗り+朝鮮戦争=LST」って話が誰もが知っている当たり前の事として語られているが、LSTの意味がまったくわかりませんでした。“カルチェラタン”も、「カルティエ?ランタン?」くらいにしか響いてこない。たぶん学生運動華やかな時代には象徴的な言葉だったのだろうけど、“死語”を使うなら、それなりに解説を入れて欲しい。

 他にもわからない事が多すぎ。「コクリコって何?」は、まあ地名(?)なのでおいておくとして、「なぜ海ちゃんがメルって呼ばれる?」「タグボートの信号旗の話はそれっきり?」・・・。なかでも一番の疑問が「この先、海と俊は結婚できるの?」。血縁関係が無い事はわかったが、戸籍上は異母兄弟になってしまっている。周囲の証言で戸籍の変更は可能なのか?、DNA鑑定?。誰か「行列のできる法律相談所」か「バラエティー生活笑百科」に相談してくれ。



ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2011

 ゆうばりファンタへ行ってきました。

 目的は、大林宣彦監督に会いに行くこと。これまで何度かお会いしたことは・・・講演会等こちらが一方的に見ているだけだけど・・・あるけど、ここ北海道の地でお会いできるとなればこれは行かなければなりません。しかも映画ファン憧れの、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭です。今回は大林監督34年前のメジャーデビュー作「HOUSEハウス」をひっさげての登場です。まさに、ファンタスティックです。

 札幌市内から夕張市までは車で2時間弱。今回は初参加なのでいまいち“盛り上がり具合”がわからず、上映開始11時の2時間前を目標に7時に出発。予定どおり9時前には夕張市内に到着。いたる所にゆうばりファンタのポスターが貼られている他、映画祭で町おこしをしている様で、商店の壁等に大きな手書きの、懐かしい映画看板が掲げられている。

 ホテルやら、小学校やら、商工会議所やら、市内各地で上映が行われている中、「HOUSE」はアディーレ会館ゆうばり(旧夕張市民会館)での上映。2時間前はさすがに早過ぎたらしく、まだ会場設営中。勝手に入っても誰も咎めてくれないばかりか「おはようございます」と爽やかな挨拶をくれるので・・・関係者と勘違いされてる???・・・まだ誰も居ないHOUSEのゲートで記念撮影。

 10時頃になってようやく閉め出され周辺をぶらぶらしていたら、会場入りする大林監督ご一家と遭遇、奥様とお嬢様がご一緒です。監督は70歳を過ぎてのジーンズ姿、いつ見てもお若い。握手していただきました。早く来た甲斐がありました。テンション、アゲアゲです。11時近くになりようやく開場。一番に入ると大林監督が関係者と談笑している。なんて気さくな。ついでにサインも戴いちゃいました。

 今回「HOUSEハウス」は“凱旋上映会”と銘打っているが、昨年ちょっとしたきっかけからアメリカで“日本の新しい才能”として注目され、全米各地で上映会が開かれたり、DVD(ブルーレイ)が発売されたりしているらしい。今もそのムーブメントは続き、監督自身も先週アメリカの映画祭に参加されていたそうだ。みたいな前説に続き上映開始。音声がかすれているのは会場の音響が悪いのか、プリントの質が悪いのか、少し聞き取りづらく英語字幕が役に立ったが、映像の方はなかなか良い。30年以上前の作品が鮮やかによみがえる。アメリカ人が“新しい才能”と間違えるのも無理はない、映像の魔術師、大林ワールドが展開される。本作を見るのは2回目だが、誰の物でもないその個性は、やはり新鮮に感じた。

 上映後は、大林監督とお嬢様の大林千茱萸(ちぐみ)さんによるトークショー。CS番組「大林宣彦のいつかみた映画館」の公開収録らしい。余談だが、千茱萸さんとは縁があり、20数年前に都内某所で某映画の試写会が行われた時に「トイレ何処ですか?」と聞かれてご案内したことがある。はい、まったくの余談です。「HOUSE」の企画は、当時11歳だった千茱萸さんのアイデアを元に作られたそうだ。撮影当時を振り返り、大人たちが真剣に遊んでいるのを見て自分もそこに参加しているのが楽しかった、と語られていました。大林監督は、当時の映画制作システム(配給会社の専属で助監督から経験しないと映画が撮れない)の中で企画の立ち上げから完成までの苦労話をユーモアを交えて語られていました。

 2時をまわり、トークショー終了。映画が好きな人が大好きな、大林監督の人柄が伝わる楽しい一時でした。現在次回作を制作中、次々回作を構想中みたいです。いつまでも頑張って下さい。会場の前には、雪降る中、次の映画「わさお」を待つ長蛇の列が。ただし会場がいっぱいになる程ではなさそうだ。オープニング、クロージングは覗いてないのでわかりませんが、その他はそれほど気合いを入れなくても十分に当日券でも大丈夫そうです。盛り上がっているのか、いないのか、映画祭の存続が少し心配です。

 石炭ラーメン、石炭シュークリーム、石炭ドーナツを食べ帰宅。せっかくだから「「幸福の黄色いハンカチ」想い出ひろば」くらい寄っておこうかと思ったけど、冬期休館です。春になったら、また来ましょう。





映画「トロン:レガシー」

 え、続編作っちゃたの???

 前作が公開されたのが1982年、コンピューターの世界を擬人化して描く斬新な設定に加え、当時のCG(コンピュータグラフィックス)技術を最大限駆使した・・・足りないところは書き割りや実写をCGっぽく見せたりして・・・映像表現で、個人的には大好きな映画だが世間的には大失敗した。それでもCG技術の先駆けとなった点では歴史に残る作品で、もう実写で撮る必要無いんじゃないの?という時代になったのはこの作品のおかげと言っても過言ではない・・・いやそれは過言か。

 そんな歴史の1ページを飾る失敗作が、満を持して3D(3次元映像)で登場。どうせなら「アバター」の前に公開して欲しかったなあ、そうすれば3D時代を開いた作品としてまた歴史に残ったのに。かく言う私はこの作品が3Dデビューです。はい、かなり世間から遅れております。でも映画館は、ついに北海道に上陸したデジタルIMAX3Dでの上映です。周回遅れで先頭に躍り出ました。

 「この真ん中の席がお薦めですよ」窓口のお姉さんに「いや(初心者なので)もう少し後ろで」。「そこだと視界の端に柱が・・・」食い下がるお姉さんを押し切り後ろから2列目を選択。それでも巨大スクリーンの幅と同じくらいの距離(近さ)、スクリーンの幅から4〜5倍離れて観るという常識がIMAX3Dでは通用しない様です。

 まずは予告編からスタート。「パイレーツ・オブ・カリビアン−生命の泉−」3Dです。いきなり衝撃を受けました。なにがって、字幕が宙に浮いている。字幕を読む時は目線を手前にし、映像を見るときは奥に戻す。むちゃくちゃ疲れる。この時点で3D映画への期待は幻滅に変わった。しかも3Dと言ってもしょせんは2次元の映像を組み合わせただけ、ピントが合っている部分は浮き出て見えるが、背景の部分との連続性が無い。人間の目は近くでも遠くでも自在にピントを合わせ、自分の見たい部分をつぶさに眺めることが出来るが、映像として固定された物はカメラマンがピントを合わせた部分しか焦点を合わせることが出来ない。これでは今までの2D映像とまったく変わらない。3Dにする意味がわからない。

 なんだかなあ、な気分で「トロン:レガシー」スタート。ん、これって2Dじゃん。暫くすると気付くことになるのだが、現実世界は2D、コンピューターの中の仮想世界は3Dと描き分けている様だ。そしてその3D映像ですが、幻滅から興奮へと変わりました。さすがCG、画面の隅々までシャープで全く違和感がない。人間が演じている部分と背景がシームレス(継ぎ目のない状態)につながる。これぞ3Dのお手本、やはり、「トロン」は時代を切り開きます。

 話は一応続編だが、前作から28年も経っているので恐らく初めて見る人にも配慮したストーリーになっていると思われる。しかし、前作ネタが随所に織り込まれ、知っているのと知らないとでは、だいぶ印象が違うと思う。まあでもこの話はストーリーなんてどうでも良い。純粋に3D化されたCGの世界を堪能しましょう。バイクの光跡で戦うシーンは、前作は碁盤の目のような平面上を直角にしか曲がれなかったのが(それはそれでコンピューターっぽくて面白かった)、階層化された建物空間を飛び回れるようになっている。しまいには戦闘機で光跡バトル、世界中のコンピューターネットワークが人間の知らないところでそんなバトルを繰り広げているなんて、面白くないですか?・・・面白くないって?・・・やっぱり本作もストーリー的には失敗のようです。




映画「告白」

 終映後、明るくなっても劇場内は静まりかえったままだった。誰も言葉を発することができない、衝撃的な映画だった。

 家族を殺され、復讐の鬼と化し犯人を殺す話はよくある。いっそのこと、そうしてくれた方が、観客としては楽であっただろう。主人公の教師(松たか子)が選んだのは、誰も考えつかなかった陰湿ないじめ。大人の知恵を最大限に使い、他の生徒や同僚を操り、少年A、少年Bの精神を崩壊させていく。復讐に走る教師には心の葛藤と言える物はひとかけらもなく、ただひたすら、冷酷に、笑顔さえ浮かべて突き進む。

 しかし衝撃的な作品ではあるが、良作と言えるだろうか。いじめについても、少年犯罪についても、普通の人が犯罪者に変わる苦悩も、その結果も、なにも示されないままに突然終わる。全てが提示されるだけ、その結果が、観客の無言に現れている。「衝撃的な話だけど、だからどうしたの?、どうすればいいの?」。有りか?無しか?の単純な意見も含めて感想が持てない。

 この映画に与える私の評価は「最高のホラー映画」だ。ホラー映画なら、結果や結論は要らない。ただ、観客を怖がらせればよい。そういう意味では、最高に恐怖を味わえる映画だ。



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